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相談事例

小沼憲子の顔写真

事例からのアドバイス

 

①もしも、兄弟が海外に住んでいたら・・・。

 

Aさんは2人兄弟。お兄さんはアメリカで仕事をしています。 ある日、Aさんのお父様が倒れ、病院で緊急手術したものの帰らぬ人に。お父様が家計の管理をしていたので、お母様はどこの銀行に、どれだけの預金があるか全く分からない状態でした。相続しようにも、お兄さんが海外にいるために、遺産分割協議書を作成できず、印鑑証明書も揃いません。各金融機関に何度も問い合わせ、必要書類の手配に大変な手間と時間がかかりました。その間、病院の支払い、葬儀や当面の生活費などのまとまったお金を、お母様はAさんから借りなければなりませんでした。 このケースの場合、「遺言書」があれば金融機関の手続きはスムーズに進められました。お父様が、お母様の生活を考えて、生活費を引き出す銀行口座だけでも遺言書(正式には、公正証書遺言)を作成していれば、お母様はAさんにお金を借りなくてすんだのです。 遺言書というと、相続の分割対策としてのイメージが強いですが、金融機関の諸手続き対策としても大変有効です。例えば、生活口座は配偶者が相続するようにして、不動産その他の財産は、遺産分割の話し合いで決めてもらうことにしてはどうでしょうか。このような「遺言書」の使い方もあるのです。 その他に「生命保険」も有効です。保険金は死亡受取人の口座に直接送金されます。固有の財産ですから遺産分割の対象になりません。最近では「死亡診断書」のFAXで、当日あるいは翌日に送金してくれる保険会社もあります。

②もしも、相続人に認知症の方がいたら・・・。

 

B子さんは、8人きょうだいの末っ子の74歳。実家は農家で、B子さんの父名義の土地をたくさん所有していました。 ある日、実家を継いだ長兄の息子から「土地を売却をしたいから相続放棄してほしい」と連絡がありました。長兄は病気で入院中。B子さんは判断に困り、次兄の意見に従うと伝えました。ところが次兄は認知症になり、判断能力を失い手続きができません。結局、土地を売却することができず、B子さんの実家は困窮してしまいました。 ​ ​ このケースのように不動産を売却する際に、登記の名義変更がなされていないことに気づくケースが少なくありません。法定相続人の中に認知症の方がいると、分割協議も相続放棄もできません。この場合、未分割のまま、代替わりを待つしかないのです。 ​ 相続人が認知症や知的障害などで財産管理ができないことが予想される場合、「成年後見人制度」または「家族(民事)信託」を利用することが可能です。それぞれ特徴や使い方、費用が異なります。どの制度を利用すればよいか、あらかじめ専門家に相談しておくことが大切です。

③親から「お金の管理を任せたい」と相談されたら・・・。

 

親が高齢の場合、徐々に判断能力のない状態(認知症)になってくることが予想されます。認知症と診断されてしまうと、銀行口座が凍結されてしまい、生活費すら引き出せなくなってしまいます。それを避けるために、公証人役場で「委任契約および任意後見契約」の公正証書を作成しておくことをおすすめします。 親に判断能力がある間は、受任者であるあなたが公正証書を持参すれば、受任者として金融機関等で手続きができます。その後、認知症になった時点で、家庭裁判所に申し出をし、監督のもと「成年後見人」となれば、引き続きお金を管理することが可能です。 ポイントは親の意思で後見人をだれにしたいか指名できることです。認知症と診断されてからでは、後見人は指名できません。家庭裁判所がだれにするかを決定します。これを「法定後見人」と言います。怖いのは、見知らぬ司法書士や弁護士などが指名される可能性があることです。その場合、毎月、報酬を支払うことになります。後見人と反りが合わなくても、替えることはできません。そのことを知らずに法定後見人をつけてしまい、トラブルになることがあります。

★​すぐに実践!親の認知症対策

 

生活口座のキャッシュカードを共有することです。銀行によっては親子にキャッシュカードを発行してくれます。 もうひとつの方法として、生命保険の活用があります。 生命保険会社では所定の認知症になった時点で、介護保険金を受け取れる保険があります。便利なところは、介護保険金を本人にかわって、契約者が指定した「代理人」が請求でき、非課税で受け取れることです。 最後に裏ワザを紹介しましょう。払込(一時払含)が終了した終身保険をお持ちでしたら、契約者を本人から「子」に変更し、子が減額、解約などの払出しの手続きをできるようにします。(払戻金は贈与になりますが、基礎控除枠の年間110万円までなら税金がかかりません。これを超えると贈与税の申告が必要です。) 保険会社に依頼し、契約者を変更するだけです。

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